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2010年 01月 19日
先週の土曜日は、ここ数週間降り続いていた雨がいきなりやみ、朝から良い天気だった。
雨はその足跡を全く残さずにどこかへ行ってしまったようで、バンクーバーの街を囲むように広がる湾の水は底が見えるまで澄み渡り、太陽はらんらんと輝いていた。 先のほうに見えるダウンタウンの街全体が光の中にあり、光は一本の線となって水辺まで届いていた。 サングラスなどしていなかったが、弓なりに続く遊歩道を走りながら何度もその様子を見た。 見たら目がチカチカするのだけれど、それでも、眺めたくてじっと見た。 きれいだった。 太陽を背にし、たくさんのランナーがすぐ横を通り過ぎていく。 長いタイツやジャケットを脱ぎ捨て、Tシャツに短パン姿で走っている人がほとんどだ。 厚みのある規則的な足音が近づいては遠ざかっていく。 タッタッ、タッタッ。 どの人の身体も引き締まり、たっぷりとした筋肉に覆われている。 その重く安定した肢体が軽やかに移動していく。 タッタッ、タッタッ。 今日は気分がいい。 幾らでも走れてしまうかもしれない。 身体は疲れ、足はだんだんと重くなってきているのに、なぜか、まだまだ走っていたいと思う。 このままずっと走っていたいと思う。 いつまでもいつまでも走っていたいと思う。 ご存知の方も多いかと思うが、先週のアースマラソンのブログの中で、寛平ちゃんががんになってしまったという報告記事があった。 前立腺のがんとのこと。 比企さんとエオラス号で太平洋を横断した後、アメリカのロス・アンジェルスで身体検査をやっていたが、その際、PSAというのの数値が高めであると出、前立腺に注意ということが既に分かっていたようだ。 その後にニューヨークでもやり、そして今回のイスタンブールと、しっかりした検査を再三に亘ってやっていたのには、そうした背景があったわけだ。 イスタンブールの医師、ニューヨーク在住の日本人医師、そして日本在住の日本人医師の3者によって、今後の治療方法の検討がなされた。 その結果、ホルモン療法というのを行う。 ブログにある説明によれば、それは、男性ホルモンの活動を抑えることによってがん細胞の活動を抑えるという方法だそうだ。 加えて、3医師ともにマラソンを続けることを承認している。 運動と前立腺のがんの進行の間には何ら関連性がなく、運動によって進行が促進されるとは考えにくい。 逆に、抑えられたホルモン活動によって筋力の低下するのを防ぐことになるという効果の方が大きいであろうという見解である。 その見解を受け、寛平ちゃんは、このまま、アースマラソンを完遂することを希望した。 そうと決まればという雰囲気で、検査のために2週間ほど中断していたマラソンが1月15日より再開された。 再開後のブログを読んでいると、がんの話をする前と全く変わりのない様子が伝わってくる。 ちょうど先週にも書いたように、寛平ちゃんの再三の身体検査は、マラソンを続けるための健康管理の一環だと私はずっと思っていたのだが、本人を含め、周りのスタッフはロス・アンジェルスでの検査結果のことを知っており、不安な気持ちを抱えながら、この一年近くを過ごしていたわけである。 もちろん、PSAの数値が高めですねというのと、がんですねというのとでは、それは話が全く違うだろうが、それにしても、心配ごとを抱えてたことには違いはないだろう。 だから、前と変わりがないも何もないわけだが、それにしても、平常心であることだと思う。 それは、ブログでは伝えきれないということもあるだろうし、私自身が感じることが出来ないということもあるのだろう。 アースマラソンが続くと知り、個人的にとてもうれしかった。 大変に自分勝手な物言いではあるが、是非とも走って欲しいと思った。 無理しないでくださいとかいう言葉が頭に思い浮かばなかった。 前述したように、そう思うためのものを感じ取れなかったのかもしれないが、寛平ちゃんはきっと走りたいだろうと思った。 「薬を飲みながら治しながら走れるでと聞いてめちゃめちゃ嬉しかった」と言っているが、その部分の感じは非常によく伝わってきたように思う。 自分の夢であるアースマラソンのゴールに向けてという言い方もしていたが、始めたからには最後までとか、ここまで多くの人を巻き込んでやっている手前とかいう責任感よりは、もちろん、それが全くないとは思わないが、そういうものよりは、彼の言うところの夢というのは、推測するに、走って地球を一周したいという、文字通りのことを指している部分が大きいのではないかと思う。 ブログを読んでいてよりたくさん伝わってきたのは、そういう気持ちのほうだった。 私の個人的な気持ちと寛平ちゃんの個人的な気持ちが合致した感じがしたので、まっすぐな感じで、やったー!という気持ちが出た。 がんを抱える気持ちについて理解しましたと言うことは私には難しいかもしれないが、走りたいという気持ちならば分かると思う。 だから、そっちの気持ちを酌んで、これからも応援していこうと思う。 理由はよく分からないが、ブログをずっと読んでいて良かったなと思った。 気の済むまで走って欲しい。
by bp1219
| 2010-01-19 00:52
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