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2009年 09月 08日
フランスを走り始めてから、アースマラソンのブログを書いているのは誰なのだろう?
ヨーロッパでのスタッフの中にブーヤン氏の名前があったから、アメリカ大陸横断時と同様に、彼が書いているのかもしれない。 文章の感じが以前と少し違うような気もするが、先日、次のような質問をなげかけていたので、やはり、ブーヤンだろうと思う。 アメリカより空が近く感じます。 これは緯度経度と何か関係があるのでしょうか? この人は、大陸横断のときにも、太陽の高さが日本のそれと違う気がするということをコメントしていたことがあったのだ。 私はその際、日頃暮らしている土地における太陽の動きが、季節によって異なったりするのを感じることはあっても、それが場所によっても起こることを実感する機会はなかなかないというようなことを書いた。 それを、アースマラソンにおいて、ゆっくりとした速度で地球を移動しているがために実感できたことであるのなら、ブーヤンの素朴な疑問の意味するところは大きいと思った。 そして、感動したついでに、ブーヤンがなぜ、そのような感覚を得たのかを調べてみたりもした。 その内容は、ここに書いた。 ということなので、今回も、空が近く感じる理由を調べてみたのだけれど、しばらく調べていて分かったことは、前回は「太陽」という言葉から、かなり科学的な情報が得られたのに対し、その部分を「空」にすると、詩的なことばかりが出てきてしまうということである。 考えてみれば、「太陽」は、情熱や青春を象徴する充分に詩的な単語であるものの、それ以前に、ある物体を指し示す言葉だという具体性があるのに対し、「空」というのは、実のところ、一体全体、何を指しているのか不明瞭だということなのだろう。 我々が日頃、「空」と呼んでいるものは、たぶん、大気圏の最も下に広がる対流圏のことだと思うが、そう思うだけで、その上には成層圏、続いて中間圏、熱圏などといろいろあり、はっきりとどの部分のことを言っているのかはわからない。 そういう意味では「太陽」「空」「雲」、それに「星」「月」など、上空に浮かんでいるものとして、ひとくくりの仲間に出来そうな感じがするが、実は、これらの単語の中では、「空」だけが異質なものなのだと言える。 どれも、ロマンチックで詩的であるものの、空以外の単語にはに具体性があるのに対し、「空」だけにはそれがない。 Googleによって数多く弾き出されてきた情報も、詩的であるが上に感覚的であり、夏になると空が低く近く感じるという人もいれば、逆に高く遠くなるという人もいた。 周りに建物があると高く感じる人があったと思えば、同じ状況で低くなると言っている人がいたりで、どうにも頭が混乱する内容ばかりであった。 そのような中でも、雲の位置によって空の遠い近いを感じ分けるというのが最も現実的であるように思う。 つまり、雲が高い位置にあれば空が遠く(高く)感じ、雲が低い位置に垂れ込めていれば空も低い(近い)ということである。 この感覚は、大抵の人のものにブレがないだろう。 アースマラソンのブログ上で、ブーヤンの質問に答えてきたコメントの中に、雲の位置によって空までの距離を判断したものがあったので、それを参考にして考えてみたいと思う。 コメントの内容によれば、雲の位置に影響を与えるものは大雑把に3つある。 (1)季節、(2)緯度、そして(3)湿度である。 ブーヤンが感じたように、空が近く感じられる(=雲の位置が低い)のは、 (1)冬 (2)緯度が高い地域 (3)湿度が高い 時で、今現在、寛平ちゃん達の走っている西ヨーロッパは、これから冬に向かう季節であり、緯度は高め、メキシコ湾流のため暖かく湿度が高いと、条件が揃っている。 今回、ブーヤンは、「アメリカと比べて」フランスの空が近いと言っていたので、2つの土地を比べてみる。 アメリカ(7月14日のニュー・ヨーク) (1)夏 (2)北緯40度44分 (3)25~43% フランス(9月2日のパリ) (1)初冬 (2)北緯48度51分 (3)53~88% なるほど、確かに、条件的にみて、ブーヤンの見たアメリカの空は、今見ているフランスの空より遠かったと思われる。 ちなみに、7月14日のニュー・ヨークというは、アメリカ大陸を出航した日と場所であり、それ以前に走ってきた土地はもう少し緯度が低く、また、砂漠地帯も多かったため、湿度も平均的に低めだったであろう。 そのことを考慮すれば、更に、空の遠さは確実になる。 ここまできたので、上記の(1)~(3)の3点の影響で雲の位置が左右される理由を調べてみた。 まず、雲はどのようにして出来るかであるが、昔、理科の時間で習ったように、ざっくりまとめると次のようになる。 空気が何らかの理由で上昇する。 上昇するにつれ、気圧は低くなり、よって気温も低くなるため、やがて空気は水蒸気となる。 飽和水蒸気量に達した後、水滴や氷の結晶に変化する。 それらの集まったものが雲である。 雲の出来上がる過程を考えると、低い位置、つまり、地上により近い位置で既に空気が雲になっているということは、それほど高いところにまで上昇しなくとも、空気が水滴になるに充分なまでに気温が低いということになる。 それは、つまるところ寒いということだろう。 となれば、一般的に、夏には雲は高い位置に出来る傾向にあり、冬は低い位置に出来る傾向にあるといえる。 (1)季節=冬に説明がついた。 同じように、雲の成分のほとんどが空気中の水分であることを考えると、湿度が高く、飽和水蒸気量が高いほうが雲が出来易いといえるだろう。 これは、もしかすると、雲の位置というよりは量に関係するのかもしれないが、取り合えず(3)湿度=高いにも説明がついたこととする。 さて、問題は(2)緯度についてである。 これには、手がかりとなるようなことを説明しているものを見つけることが出来なかったが、季節=冬の説明をつけたのと同じようなことかと思う。 つまり、気温の問題である。 雲には10種類くらいあり、その分け方の大きな基準は、その雲が出来る地上からの距離(高度)によっている。 例えば、すじ雲だとか、うろこ雲だとか、入道雲だとか、日常生活でも、雲の形によって名前をつけて呼んだりしているが、本来は、形ではなく高度によって区分けが成されている。 ちなみに、最も高い高度に出来る雲を巻雲(けんうん)といい、最も低い高度に出来るのは積乱雲、いわゆる入道雲である。 巻雲についての定義を書き出してみると次のようになる。 高緯度(66.5度以上)地域で、地上より3キロから8キロで発生。 中緯度(23.5~66.5度)地域で、地上より5キロから15キロで発生。 低緯度(23.5度以下) 地域で、地上より6キロから18キロ。 先ほど、雲の区分けは形ではなく高度だと書いたが、やはり、形も関係はしているのだろう。 同じような形をした、つまり作られた過程がほぼ同じである雲が、緯度が違う土地では異なる高度で出来上がるということだ。 高緯度の土地と言ったら、北緯のほうでは北極やアラスカ、南緯のほうでは南極のほうである。 日本は東京が北緯35度くらいで中緯度に属すが、沖縄辺りだと24度から26度で、ほぼ低緯度地域。 そこから考えると、たぶん、高緯度の土地は寒く、赤道に近くなる低緯度の土地は暑いということなのだろうと思う。 単純に考えると、緯度が高くなるほど平均的に気温が低いということになるので、雲のできる条件が低い位置に揃うということかと推測する。 ということで、気温と関係して、(2)緯度=高い地域も納得したことにする。 太陽や月、星などと違って、雲はその土地土地で出来るものであるから、地球のどこかで誰かが見ている雲と全く同じ雲を私も見ている、、、というようなことはないわけだが、それでも、カナダで私が見ているのと似たような形の雲を日本の友達が見た場合、彼或いは彼女は、私が感じるのより心持ち高い位置でそれを確認し、その結果、空を遠くに感じるのだなあと思うと、ちょっと愉快だ。 (私が住んでいるのはカナダ・バンクーバーで、緯度は49度13分と東京より高い) 日本の冬の空は、私の住んでいる土地の空より少し遠いのだ。 書いていて気が付いたが、折角、科学的に空の遠い近いを検証したつもりが、結局、詩的に感傷的な雰囲気で文章を終わろうとしている。 これも、「空」という言葉の持つ漠然とした感じによるものなのだろうか? もし、そうだとすれば、矛盾したことを言うようだが、その漠然とした感じのまま、ただただ「空が近い」という思いを抱えながら、ひたすら走って行くのもまた良いものなのかもしれない。 と、漠然と思った。 寛平ちゃん達はベルギーに入った。 ベルギーの空も低いのだろうか?
by bp1219
| 2009-09-08 23:02
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