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2010年 08月 03日
ホルモン療法の時に飲んでいた薬の効果がそろそろ切れる頃だそう。
ホルモン治療とは、前立腺がんの治療の一環であり、男性ホルモンを抑えるのが目的である。 つまり、体内で働いていた薬が切れてくるにつれ、寛平ちゃんの体内では女性ホルモンが徐々に元の男性ホルモンに変わる。 そうすると、吐き気がしたり、倦怠感が出たりするのだそうだ。 効果の出始めの際にも同じような症状を訴える人が多い中、幸いにも寛平ちゃんは大丈夫だった。 が、今回は、筋肉が痛くなったりもして大変そうである。 そのような中でも、周りの景色を楽しみながら走っているようで、先日は、遠くの草原に一匹で佇むラクダを発見していた。 ラクダの存在に気がついていないブーヤンが寛平ちゃんに、「パノラマでビデオを撮ってみ~や」と言われ、カメラがぐるっと回る。 一周してもやっぱり分からず、寛平ちゃんが「そこや!そこや!」というところで、画面がズームする。 すると、遠目にもとても大きいことの分かる立派な白いふたこぶラクダが現れた。 しばらく微動だにしないラクダに、置物なのではないか?とブーヤンが疑い始めた頃、ゆっくりと顔がこちらに向けられた。 さすがにブーヤンも興奮していた様子ではあったが、寛平ちゃんの興奮度のほうが高かったように思う。 誰でも少なからずそうだとは思うが、寛平ちゃんは、何か、珍しいものや、自分が見たことのないものに出くわすと、むくむくとやる気を出す体質かもしれないなと思った。 私ごとになってしまうが、実は、私はその体質だ。 特に、野生の動物を見ると、いわゆる、アドレナリンが大量に放出された状態になる。 先日、近所のスタンレー公園でふくろうを見た。 公園と言っても千エーカーあり(東京ドーム88個分)、敷地のほとんどが鬱蒼とした森なのであるが、森の中を何本ものトレイルがあり、ジョギングのクリニックでよく走る。 実は前にも見たことがあり、その一回目は公園の入口で、横を2車線の道路が走っているようなところの木の上に止まっていた。 気が付いたのは私だけだったようで、「あ!ふくろうだ!」と声を上げたものの、発音を間違えて、「アウル」と叫ぶべきところを「オウル」と言ってしまったため、誰の反応も受けることが出来なかった。 (Walkをウォーク、Workをワークなど、aとoが逆なんじゃあないかと思うことがよくある。ふくろうはowlなので、いつも間違えてオウルと言ってしまう。) それで、自分でも、もしかしたら幻覚だったのかもしれないと思っていた。 ところが先日、2回目の遭遇があったのだ。 その時の第一発見者はクリニックのインストラクターで、もちろん、きちんと「アウル!」と叫んだから、いっしょに走っていた皆が、「おお!」となった。 今回はトレイルの途中で、周りは数日前の雷を伴った雨がまだ残っている薄暗い湿った森だ。 冷たくたっぷりと水分を含んだ空気の中、モコモコした絨毯のようなコケをまとった大木の上のほうの枝に悠々とした様子でふくろうが休んでいる。 走りながら、じーっと眺めていると、あの、身体の半分ほどもあるような頭を、ゆっくりとこちらへ向けた。 バカみたいに走っている我々を不思議なものでも見るような目つきで見下ろしていた。 その日は確かに、気温も15度くらいで、前述の通りに少し前に降った雨で森の中は適度に湿っており、走りやすかったということはある。 しかし、ふくろうを見た途端に身体がすーっと軽くなり、ぐんぐんと走れるようになってしまった。 前がつかえて走りづらく、隙を狙っては列の前のほうへ出、しまいには、「ペースを考えてゆっくり走れ」とインストラクターから注意される始末だった。 10キロのランニングが終わった後も疲れ知らずといった感じで、家に帰る頃には今まで走っていたことを完全に忘れており、スキップするくらいの勢いでピンピンしていた。 そして、まだベッドの中にいるオットに、「ふくろうを見たよ!」と早速報告した。 こういうことはわりとあり、訳も分からず非常にウキウキしている時に、「何がそんなに楽しいのかなあ?」と考えると、朝に亀と泳いだんだったとか、昨日は熊を見たんだったとか、(←こういうのは、日常的にはもちろんなく、旅行先での出来事ではあるが)という具合である。 寛平ちゃんが毎日、毎日、40キロから50キロの道のりを前進するエネルギーの中には、このような野生動物による効果もあるのではないかなと思った。 寛平ちゃんの筋肉の痛みはかなり辛いようで、足首に、今までしていなかったテーピングをやっているそうだ。 当たり前の話であるが、痛い足で走るのは非常に辛い。 アメリカでやっていたアイシング風呂をやろうにも、カザフスタンで大量の氷を入手するのは難しそうだ。 それに、痛みの理由が違うから、もしかするとアイシングも効かないのかもしれない。 いずれにせよ、すぐれない体調をカバーすべく、いろいろな動物なり景色なりが寛平ちゃんを励ましてくれるといいと思う。
by bp1219
| 2010-08-03 23:48
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